スーパー戦隊は、なぜ終わったのか

·

── ブランドは「機能」ではなく「人生のパートナー」になれるか

結論から言う。
スーパー戦隊は、50年続いた。だが――
「一緒に歳を取れるブランド」にはなれなかった。

2025年放送の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』をもって、
スーパー戦隊シリーズは歴史に幕を下ろした。

少子高齢化、スポンサー撤退。
よく語られる理由は、どれも“正しい”。
しかしそれらは説明であって、原因ではない。

本質はもっと残酷だ。

スーパー戦隊は「子どものためのコンテンツ」から、脱出できなかった。


「点」だった戦隊が、年に一度だけ「線」になる瞬間

スーパー戦隊は本来、
徹底した“個の集合体”だ。

  • 年ごとに変わる世界観
  • 毎年リセットされるヒーロー
  • 単体で完結する物語

しかし、唯一それが“別の存在”になる瞬間があった。
シリーズ横断で集合する映画やVS企画である。

この時、戦隊は

  • 単体作品(点)
  • クロスオーバー(線)
  • 歴史としての連なり(面)

へと進化した。

ファンはここで初めて気づく。
「これは作品ではなく、“自分の記憶の一部”だ」と。

だが――
この“線化”は一時的な祝祭で終わった。


なぜ「線」を、常設の価値にできなかったのか

理由は明確だ。

スーパー戦隊は、
機能訴求の延長線に、ブランドを置き続けた。

  • 今回の戦隊は何が違うのか
  • 新しい武器は何か
  • 新しいギミックは何か

これは、マーケティングで言えば
短期ニーズへの最適化に等しい。

だが、人は人生でこうは考えない。

「困った時、誰を思い出すか」
「成長の節目で、何が横にあったか」

戦隊は、
“毎年新しい正義”を提示し続けたが、
“積み上がる関係性”を設計しなかった。

結果、

  • 子どもの頃の思い出にはなる
  • しかし大人になって戻る理由がない

という状態を生んだ。


タッチポイントは入口にすぎない

ここからは、リテールとブランドの話だ。

多くの企業がいま、

  • カスタマージャーニー
  • タッチポイント最適化
  • 一時的ニーズへの即応

に力を注いでいる。

これは必要だ。
だが、十分ではない。

タッチポイントは、
あくまで入口にすぎない。

重要なのは、その先で何を示すか。

  • 別の製品への“いざない”なのか
  • 一貫した価値観の提示なのか
  • 「このブランドなら間違いない」という信頼なのか

ここを誤ると、ブランドは
“便利な選択肢のひとつ”で終わる。


ハブ・アンド・スポーク戦略の致命的な誤解

よく言われる
ハブ・アンド・スポーク戦略

だが多くの企業は、
ハブを「主力商品」だと勘違いしている。

違う。

ハブは、
「あなたにとって、このブランドは何者か」
という約束そのものだ。

スーパー戦隊で言えば、
ハブは武器でも変身アイテムでもない。

本来のハブは、
「仲間であるという感覚」
「正しさを信じる姿勢」
「一緒に戦ってきた時間」

だったはずだ。

しかしそれは、
毎年リセットされ、
物語として積み上がらなかった。


50年続いたブランドが、終わるということ

50年続いた。
それは偉業だ。

だが、続いたこと
残ったことは、別だ。

スーパー戦隊は

  • 記憶には残った
  • しかし人生の横には残れなかった

この差は、
これからのブランドにとって他人事ではない。


ブランドは「選ばれる理由」では足りない

最後に、これだけは言い切りたい。

ブランドとは、選ばれる理由ではない。 人生のどこかに、居続ける存在である。

機能訴求は、
一時的な成果を生む。

だが、
「一緒に歳を取れるか」
この問いに答えられないブランドは、
いずれ“懐かしい存在”になる。

スーパー戦隊が残した最大の教訓は、
ここにある。

あなたのブランドは、
顧客にとって
“便利な製品”だろうか。 それとも、“価値あるパートナー”だろうか。

答えは、
タッチポイントの外側にある。