―ドラクエとドラクエウォーク、そして“はぐれメタル”が教えてくれたこと
「仕事がつまらない」
この言葉は、あまりに多くの人が使うわりに、
真正面から“構造”として語られることが少ない。
やりがいを見つけよう。
意味づけをしよう。
自分を変えよう。
そう言われても、どうにも腑に落ちない。
今回はこの「つまらなさ」を、
ポップカルチャーの視点から分解してみたい。
題材は、
ドラゴンクエスト と ドラゴンクエストウォーク。
同じ世界観、同じ「レベル上げ」という概念を持ちながら、
体験の質がまったく異なる二つのゲームだ。
仕事が「作業ゲー」になる瞬間
仕事がつまらなくなるとき、
そこには共通した感覚がある。
- 毎日やることは決まっている
- 手は動いている
- それなりに成果も出ている
それなのに、なぜか虚しい。
この感覚は、RPGにおける
作業パートの連続に非常によく似ている。
ドラクエにおける作業パート
従来のドラクエでは、
- 敵と戦う
- 経験値が入る
- レベルが上がる
というサイクルが、非常にわかりやすく設計されている。
だが同時に、それは一本道RPGでもある。
次に行く町。
次に倒すボス。
次にやるべきこと。
目的地が明確であるがゆえに、
プレイヤーはこう感じ始める。
今、自分は何のために戦っているのだろう?
ドラクエウォークが変えたもの
一方、ドラクエウォークはどうだろうか。
- 歩く
- 日常の移動が戦闘になる
- レベルが生活と結びつく
ここでは「作業」が、
ゲームの外=現実の生活に接続されている。
レベルが上がることは、
- キャラクターの強化
- だけでなく
- 健康や生活リズム
といった現実側のリターンを伴う。
同じレベル上げでも、
意味の置き場所が決定的に違うのだ。
レベルは上がっているのに、なぜ虚しいのか
仕事に置き換えると、こう言える。
レベルは上がっている。
だが、そのレベルが現実に接続されていない。
KPIは達成している。
業務も回せている。
経験年数も増えている。
それでも虚しいのは、
成長実感が“どこにも跳ねていない”からだ。
そこで登場する「はぐれメタル」
ドラクエシリーズを象徴する存在、
はぐれメタルを思い出したい。
- どこにでも出る可能性がある
- だが、狙ってもなかなか出会えない
- すぐ逃げる
- 倒せると、経験値が一気に跳ねる
これは単なるレア敵ではない。
作業に意味を与えるための存在だ。
仕事における「はぐれメタル」とは何か
仕事版に定義し直すなら、こうなる。
はぐれメタルとは、
日常業務の中にたまに現れる
“異常に学習効率の高い瞬間”である。
- クレーム対応で構造が見えた
- 資料修正の理由で意思決定が理解できた
- 失敗が後工程の理解につながった
どれも一見「作業」だ。
だが実は、大量の経験値が仕込まれている瞬間でもある。
仕事がつまらなくなる本当の理由
仕事がつまらないのは、
- はぐれメタルが出ないから
ではない。
はぐれメタルに気づかないまま、 逃がしているからだ。
忙しさに流され、
振り返らず、
ただ通過してしまう。
つまらない中にある「面白エッセンス」の探し方TIPS
――仕事版・はぐれメタル発見法
TIPS①
🥄「それ、今日だけ定食」理論
いつもと違う日は、だいたい経験値が高い。
- イレギュラー対応
- 想定外の質問
- たまたま任された役割
それは期間限定メニューだ。
実践
「なぜ今日は定食が変わったのか」を1行で書く。
TIPS②
🧠「あれ…日本語が出てこない病」チェック
説明できない=まだ倒していない敵がいる。
- 上司に聞かれて詰まる
- 後輩に説明できない
- クライアントの一言でフリーズする
能力不足ではない。
未回収の経験値がそこにいるだけだ。
TIPS③
⚡「今日、ヌルゲーでした報告」案件
一瞬で終わった日は、だいたいレベルが上がっている。
- 判断に迷わなかった
- 作業が流れるように終わった
それは難易度が下がったのではない。
あなたが強くなっただけだ。
TIPS④
🪤「誰も踏みたがらない地雷原」探索法
めんどくさい仕事ほど、だいたい美味しい。
- 地味
- 評価されにくい
- 説明が面倒
だが、構造理解に直結する仕事は、
だいたいここに埋まっている。
TIPS⑤
📈「なんか最近、悟った感」観測日誌
数字は出ないが、挙動が変わる。それがレベルアップ。
- 判断が早くなった
- 説明が短くなった
- 迷わなくなった
これは、はぐれメタル討伐後の状態だ。
対応表で見ると、こうなる
| ドラクエ | 仕事 |
|---|---|
| はぐれメタル | 学習密度の高い瞬間 |
| 逃げる | 気づかず通過 |
| 倒す工夫 | 観察・言語化 |
| 経験値大量 | 視点・判断力 |
| 周回 | 日常業務 |
結論
仕事がつまらないのではない。 はぐれメタルを見逃しているだけだ。
良い仕事設計とは、
- 楽しくすることでも
- やりがいを押し付けることでもない。
はぐれメタルに気づける人を育てることだ。
作業に見える日常の中には、
必ず少量の“面白さ”が混ざっている。
それを拾えるかどうかで、
仕事は「作業ゲー」にも、「育成ゲーム」にも変わる。

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